法文学部創立100周年!”文系博士”の実態

「選んだ道を悔いのないように」異色の経歴をたどる博士学生の考え方

法文学部100周年記念  

日本国内の学生のうち、博士課程は僅か2.6%。その中でも文系は2割にも満たないという現状があります。そんな中、九州大学の人社系大学院に属する、人間環境学府・教育システム専攻にて日々研究に努める増木風佳さんに、研究に対する思いを伺いました。

— これまでのご経歴を教えていただけますか

修士の2年までは九大でお世話になっていて、そこから4年間、3月まで広島に戻って高校の教員(国語)をして、再び入学をしました。

— 現在行っている研究はどんなテーマですか

テーマの中心は第2次世界大戦後の広島における、親を亡くした子供の救済について研究を進めています。原爆によって親を亡くした子どもたちをアメリカ人が救済するという、国際的な事業に焦点を当てています。経済的な支援として月に2.25ドル送金したり、手紙のやり取りをしたりしていたという事業です。こうした事業の内実について研究しています。

— そのような研究において資料探しなどで難しい部分もあったと思うのですが

そうですね。難しいですね。アメリカでの史料調査は、ネットで閲覧できる目録をもとに調査するのですが、これは絶対あると思って開けても、新聞記事が1枚ペラって出てきただけということもありました。また、自分が原爆孤児だということを表明したくない方もいらっしゃいます。プライバシーのこともあったりするので、外部の方にお見せはできませんと言われたこともあります。

— 似たような研究と比較して増木さんの研究ならではの要素はありますか

日本国内に限らない資料を扱うという点です。日本の中だけじゃなくて、アメリカとか、ちょっと最近オーストラリアも気になっているんですけれど。国内にとどまらない資料を用いて複合的に研究を進めているというところがオリジナリティかなと思います。

— 博士課程で大変だったことがあればお聞かせください

査読付き論文の本数などの条件があるので、一筋縄ではいかないことに、自分が耐えられるかな、と思うこともありました。

— 博士になって考え方が変化したことって何かありますか

締め切りのとらえ方が変わりました。
私が学部か修士のときに、「やばい、今日締め切りで全然間に合ってない」と言ってパニックを起こしていたことがありました。そのときいらっしゃった博士課程の尊敬している先輩が、「締め切りってありがたいよね」っておっしゃっていたんです。締め切りがあるありがたさ。その締め切りがあるから、とりあえず1区切りつけることができて、また次にむかうことができるという考え方を聞いて、なるほど 確かになって思えるようになったかなと思います。

— 博士課程が向いている人はどんな人だと思いますか

向いているかどうかって難しいなって。自分自身も向いているか全然わからない。それこそ高校の教員をしている時に、自分はあんまり向いてないのではないかと思うこともあったんですけど、その時に、向いているって思っているよりいいよねって言っていただいて。だから、向き不向きで考えるんじゃなくて、面白いなって思えることも、反対に、なんかしんどいなって思うことも含めて、ひたむきにやっていくっていうことの方が、大切というか。目の前にあることをやっていければ、それでいいのかなと。

— これまでの研究で大変だったことや苦しかったことなどはありますか

多くの学生が学部で卒業して就職していくじゃないですか。そうなった時に、みんなは仕事の話をしているけど、私は学生でのん気にしているのかなと思うこともあったりして、苦しいなっていう時期もありました。

— 最後に今高校生の人、学部生の人、修士課程の人などこれから後輩となるような人たちに向けて何かメッセージをお願いします

アルバイトをしていた先の方の言葉で印象に残っているものがありまして。「選んだ道が、正解なんだ」って言われたことがあって。やっぱり、その時の自分が選んだ道だから、悔いのないように努力していくしかないのかなって思っています。選んだ道を悔いのないように、 皆さん頑張ってください。

取材協力
人間環境学府・教育システム専攻
増木風佳